ご飯の魅力を語ろう

vol.3笠原将弘さん

恵比寿 日本料理「賛否両論」オーナー兼料理人

動画の内容をインタビュー記事で読めます

#4 子どもたちに和食を伝える
和食給食応援団

次世代に和食という食文化をつなげるため、2014年に結成したのが和食給食応援団です。
僕は東日本代表として、栄養士さんに講習をしたり、和食の献立を考えたり、学校で調理師さんたちと実際に作って子どもたちと一緒に食べたりしています。そして和食についての話をし、子どもたちに「和食っていいでしょう」と発信しています。
また、給食では和食より洋食の方が人気だそうで、子どもたちが残すからと、つい栄養士さんも和食を避けて子どもに受けるメニューを優先しがちです。20代の若い栄養士さんになるとその人自身もあまり和食を食べて育っていないので、和食の献立そのものも考えられません。そこで僕らのような料理人が手助けできればと思って活動しています。
和食は教育という観点から見てもすぐれものです。三角食べして口内調味するので考えながら食べ、しかもお箸という道具を使います。さらに週に5回、給食で旬の食べ物も自動的に学ぶことができます。まさに食育ですよね。僕が和食の修行に出てよかったなと思うのは、そういう季節ごとの食材を覚えることで漢字や昔のことわざ、季節の行事なども自然と覚えられたということです。給食でも同じで、和食から広がる学びがあるのです。
外国に行くと、どこの国の人も自分の国の料理ばかり食べているなと感じます。日本人はいろんな国の料理をおいしく食べられますが、これはすごく食のレベルが高いからできること。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、これから外国人の来日はますます増えるでしょう。その時、外国人から和食について聞かれて肝心の日本人が答えられないのは恥ずかしいことです。英会話も大事ですが、子どもたちには学校で「自分の国の文化、料理を海外の人に説明できると国際的な人でかっこいいよ」と話しています。そのためには和食を食べて知る必要がありますが、子どもたちにその日の朝食を尋ねると、圧倒的にパンが多いんですよ。そして夕食もパスタだったりピザだったりすることも珍しくないので、ならば給食は毎日和食でもいいくらいじゃないかと思います。いくらさまざまな国の料理を味わえるすぐれた舌を持っている国民でも、やはり1日1回は自分の国の料理である和食を食べてもらいたいですね。
#5へ続く