ご飯の魅力を語ろう

vol.4細川モモさん

予防医療コンサルタント

動画の内容をインタビュー記事で読めます

#1 妊娠・出産を経験して、
食について伝えたいこと

「妊活」という言葉をご存知でしょうか。妊活とは、子どもを授かりやすい体にするための準備期間や行動のことを言います。多くの女性は仕事や家事などに多忙で、睡眠や栄養、運動といったものを犠牲にしながら生活しがちです。そこで赤ちゃんを作る前に自分の体と生活を見直し、できるだけ授かりやすい体にするのです。
妊活で非常に大事なのが、栄養がありバランスのいい食事をすることで、それをもっとも簡単に実現できるのが、和食の献立(定食)というスタイルです。
出産後、お母さんは母乳や離乳食を通じて赤ちゃんに栄養を与えます。特に赤ちゃんは妊娠20週から生後2歳にかけて脳が急成長するのですが、その際に多くのDHAを必要とします。 そのため、この時期のお母さんは特に魚の油を摂取するように心がけてください。とはいえ育児中は多忙ですから、サラダの上にツナ缶を載せる、鮭茶漬けを食べる、ブイヤベースなど魚が含まれるスープを取る、おかかをまぶしたおひたしを食べるなど、簡単な時短料理で魚を取る方法でもOKです。
出典:Martinez, J Pediar 1992 ; 120:S 129-38
また、授乳中はお母さんの骨密度がV字に下がっていく時期でもあり、妊娠・出産を機に骨粗鬆症になってしまう女性が増加していることが問題になっています。特に産後の腰椎骨折のケースが増えていて、赤ちゃんが生まれて本来ならば最高に幸せな時期にお母さんが何か月も入院を余儀なくされたり、骨密度を回復させるために授乳を禁止されてしまったりするのも悲しいことです。カルシウムの摂取は、妊活の段階から強く意識して欲しいことのひとつといえます。
さらに、母乳は白い血液と言われるように、お母さんはたくさんの血液を赤ちゃんに与えているため、食べる量が追いつかないとどんどんやせてしまったり、母乳自体が出なくなってしまったりするので、ヘルシーかつ栄養素の豊富な食生活を実現する必要があります。産後の女性はいかに妊娠前の体重・体型に戻すかも大きなテーマではありますが、赤ちゃんに必要な栄養素を与えられなくなってしまっては元も子もありません。その反面、母乳が出ているととてもお腹が空くので、食欲のままに食べてしまうと体型が戻らないままになってしまうので、産後のお母さんの食事は葛藤が多い時期とも言えます。
ところで、妊活は女性だけの話ではありません。不妊症の50%は男性が原因と言われていることからも、男性の妊活もとても大切です。不妊クリニックでは男性に抗酸化ビタミンなどの体の錆びを抑えるサプリメントや薬を処方するので(飲酒量が多い人や喫煙する人は、より体が錆びやすいと言われています)、普段の食事でも抗酸化力のある色素の濃い野菜や果物の摂取を心がけるといいでしょう。不妊のリスクが高まる35歳以上の男性がパパになる場合は、ぜひ妊活をおすすめします。
#2へ続く