ご飯の魅力を語ろう

vol.4細川モモさん

予防医療コンサルタント

動画の内容をインタビュー記事で読めます

#2 「うま味」を生かした和食で
肥満や生活習慣病を防ぐ

人は本能的に糖質や脂質を欲求する傾向があります。その思いのままに食べて「糖質依存派」や「脂質依存派」になってしまうと、糖尿病や生活習慣病のリスクが上がってしまうのは避けられません。
これは世界的にも大きな問題となっており、諸外国では肥満予防のために甘味・酸味・塩味・苦味に次ぐ第5の基本味である「うま味」に注目しています。日本では出汁が代表的なうま味で、ローカロリーでありながら食べたことによる満足感も得られます。
自治体レベルで行われている小児生活習慣病予防検診などの結果を見てみると、多いところでは小学生の11~13%が糖尿病予備軍や糖尿病に該当するといった報告もあります。子どもだからといって成人病、生活習慣病にかからないというわけではありません。しかし子どもをうま味好きにさせることによって、病気になりにくい体を作っていくことはできます。そのためにも、大人だけでなく子どもにも和食中心の食生活を送ってほしいですね。
そうは言っても、子どもたちはハンバーグやミートソースなど、洋食を好みます。これはハンバーグやパスタの味そのものよりも、ソースやケチャップといった味のインパクトが大きいことと関係しています。そういったソース類にはうま味調味料や砂糖がたくさん使われているので、素材の味よりも強く口の中に残り、子どもたちが「おいしい」と感じやすいのです。
味の濃い調味料に慣れた子どもが和食を食べたがらない場合は、うま味成分の多く含まれている食材を使ってみるといいでしょう。また、加熱することでうま味が溶け出すという特性を生かして、食材から上手にうま味を引き出すのもポイントです。さらに人間の脳は動物性のたんぱく質から取れるうま味に対して非常に強く反応するので、たとえば魚と野菜の出汁を合わせたスープを作るなど、うま味を掛け算して作るのがおいしさの秘訣です。
ところで、多くの家庭でよく食べられている野菜に、きゅうり、レタス、トマトがあります。いわゆるファミレスで出てくるサラダですね。きゅうりやレタスはそれほど強いうま味が出る食材ではないので、塩分や脂肪分の多いドレッシングが必要になります。ごぼうやにんじん、しいたけと鶏肉の炊き込みご飯のほうがよほど強い出汁が出ます。うま味成分がどれだけ濃縮されているかは食材によってかなり差があるので、メニューを考えたり食材を選んだりするときは、そのことも頭に入れておきましょう。
ベースの出汁には、鰹節や昆布が使われますが、昆布に含まれるアルギン酸やフコキサンチンには、脂肪吸収抑制→肝臓での脂肪合成量低下、血糖値の正常化といったダイエット効果が相次いで報告されています。
また、ラミナリンという成分が食物アレルギーを抑制する可能性があることもわかってきました※旨みは、スリムな体形を維持し、病気を遠ざけ、脳にパワーをあたえてくれるのです。
子どもがいかに和食を好きになるかが、長い目で見れば子どもを病気から遠ざけることにつながります。和食のみにしてしまうと子どもが飽きて食べなくなってしまうこともあるので、和食の比率を多めにしてバランスのいい食事を心がけてください。
※Cell Host Microbe; 182,2,183-197,2015
#3へ続く