ご飯の魅力を語ろう

vol.4細川モモさん

予防医療コンサルタント

動画の内容をインタビュー記事で読めます

#3 子どもの幸せを願うごはん

親御さんが与える食事で子どもは育ちます。子どもが健やかに育つには、脳が発展していく6歳までの時期に脳の成長に必要なDHAや鉄分を与え、脳の発達を助けるためにブレインフードを食べさせるのが親の役割です。
給食は最悪の栄養失調を防ぐことはできますが、栄養のアンバランスや過不足を補うためのものではありません。「給食があれば大丈夫」と過信している親御さんが増えているようで、気になるところです。
最近は加工食品や冷凍食品がますます普及し、忙しい親御さんのための時短料理にも役立っています。それ自体は悪いことではありませんが、塩分の取りすぎや栄養の偏りという問題は出てくるので、おすすめしたいのは下処理された状態で売られている野菜などを活用することです。食材を切ったり茹でたりという手間を省きつつ、最後の味付けは親御さん自身が薄味に仕上げるのです。私もカット野菜には随分お世話になっていますよ。離乳食のパウチもさまざまな種類が売られていますが、どこまで手間を省き、どこから自分で作るかという「マイルール」は必要だと思います。
子どもの食事は健康面だけに関わるものではありません。実は学力との相関も、国内外でさまざまな報告がされています。朝食を食べないと寝起きの良しあしや通学へのモチベーションに影響すると言われていますし、朝食でお米を食べている子どものほうが、それ以外の朝食を取っている子どもよりも学力テストの点数が高いという報告もあります。
また、学習/記憶/気分に関係している「海馬」や「灰白質」が、食事の内容に影響を受け、ジャンクフードなどの悪い食事がこれらの体積を縮め、脳の機能低下を引き起こすという報告も豪ディーキン大学などの研究により明らかになっています。
一方、脳に良い食材を”ブレインフード”といい、脳の機能維持に必要な栄養素を含む魚や大豆などが該当します。さらに、米に含まれるオリザノールは、海馬の機能を回復させ※、成長ホルモンを増加させるだけでなく※、自律神経を整えて心身症(不安/緊張/うつ等)を抑えます。医療品に認められる成分でもあり、米は世界に誇る素晴らしいブレインフードです。納豆ごはんや焼き鮭朝ごはんは、最強のブレインレシピです。
しかし、どれほどバランスのいい食事を取っていても、どのような心理状態で食べているかが重要です。人は「おいしい」と思って食べるほど唾液の分泌率が上がるので、その分食事の消化がスムーズに行われ、腸管からの栄養吸収率が上がります。さらにドーパミンやセロトニンのような快楽ややる気のホルモンがより多く分泌されるので、快活さや物事への意欲にもよい効果があるでしょう。
子どもがひとりで食事をする「孤食」もNGです。我が家は共働きなので朝の時間は忙しく、3人そろって座って朝食を取ることは難しいのですが、かならず夫婦のどちらかが娘と一緒に食べることを厳守しています。その際はテレビを消し子どもと会話を交わすようにして、子どもにとって「朝ごはんはパパ、ママと過ごせる楽しい時間」と認識してもらうのです。栄養バランスだけでなく食事そのものを楽しいと思ってもらう努力をしているからこそ、うちの娘は好き嫌いがなく何でも食べる子に育ってくれているのだと思います。
※窪田金嘉, フェルラ酸塩による運動能力増強剤.特開2001-161314(2001).
※Okajima, K., Major components of rice bran, thiamine,
gamma-oryzanol and gamma-aminobutyric acid increase insulin-like growth factor-I production through sensory neuron activation; the molecular mechanism(s) and biological effects. Abstracts of the Second International Symposium on Rice and Disease Prevention, p.44(2008)
#4へ続く