ご飯の魅力を語ろう

vol.5橋本幹造さん

日本料理「一凛」オーナー兼料理人

動画の内容をインタビュー記事で読めます

#2 現場を見て生産者と語ることで初めてわかる農作物の品質

「一粒も無駄にしないように食べよう」という気持ちが生まれると思います。

農作物を作るには日照時間と水、そして土が絶対不可欠です。だから僕は産地を訪れると、かならず畑の土に触れさせてもらいます。ちゃんと手入れされている土とほったらかしにされている土には、雲泥の差があります。いい土は一朝一夕にできるものではありません。その土地の環境に合っているのがどんな土かにたどり着くには、代々のたゆまぬ努力があったはずです。それがおいしい、いい作物につながっているのです。
ネットや雑誌、テレビなどでおいしいと評価されている野菜や果物なども、実際に産地に行き、育っているところを見て、初めてわかることがいろいろあります。だからいちほまれを好きになった方には、ぜひ福井県に足を運んでくださいと言っています。福井の大地を踏んで、いちほまれが育つ田んぼのある光景を見ると、味も変わります。それに「一粒も無駄にしないように食べよう」という気持ちが生まれると思います。

ご飯の魅力を語ろう:日本料理「一凛」橋本幹造さん

店で使う食材も、基本的に現場を見て、土に触れ、生産者の方としゃべって飲んで、さらにそのお宅の料理を食べさせていただくことが多いです。その農作物を一番食べ慣れているのは本人たちですから、おいしい食べ方をご存じなんです。
里芋農家にお邪魔した際は、あいにく時期が悪く新物がなく、昨年収穫したという冷凍ものを使って、お母さんが煮っころがしを作ってくれました。これがもうとんでもなくおいしいんです。あまりにおいしくて、帰りの飛行機に持ち込んで機内でも食べていたほどです。僕は店で出す料理には砂糖を使わず、食材の旨味を出すことを基本とし、醤油も味付けではなく香り付けとして使っています。それに対してお母さんの煮っころがしは、醤油と砂糖をどーんと使ったこってり味。けれどそれがとびきりおいしいのは、濃い味に負けない里芋そのものの甘さがあるからなんですね。

農家の方のお米に対する愛情がこれでもかというくらい伝わってくる。
ご飯の魅力を語ろう:日本料理「一凛」橋本幹造さん

スパイスやハーブを「足す」西洋料理に対し、「出汁を引く」「湯引き」など、日本料理は「引き算」の料理と言われます。そのため、素材のよしあしが料理にそのまま反映されます。作り手の情熱や誠実さが詰まっている農作物は、おのずとおいしい。いちほまれの田んぼに行くと、農家の方が稲を見ながら「葉っぱがね」「稲穂がね」と、いつまでもしゃべるんです。お米に対する愛情がこれでもかというくらい伝わってくるので、ならば僕もいちほまれをお客様においしく食べていただけるよう、全力を尽くさなければと思うんです。