ご飯の魅力を語ろう

vol.5橋本幹造さん

日本料理「一凛」オーナー兼料理人

動画の内容をインタビュー記事で読めます

#4 世界の料理を楽しめる国だからこそ和食のよさを見直したい。

改めて、和食を見直してもらいたいとも思うのです。

日本人は食に対して気が短いというか、ゆっくり時間をかけて味わうということにあまり重きを置いていないところがありますよね。確かに一般的な日本人の日常生活では、それも無理ないかもしれません。
一方、フランスではフルコースを食べるのに4時間かけることもざらです。フランス人の友人に「なんで4時間もかけて食事するの?」と尋ねたら、「あんなにおいしいものをあっという間に食べたらもったいない。時間をかけてその料理を理解しながら食べると、おのずと4時間かかるんだ」と言われました。そもそも最初の料理が出てくるまでに1時間近くかかります。日本だったらクレームもの、ありえないですよね。けれどフランスだと「お客様の好みをきちんと聞いて、それに合わせて準備をすれば1時間は必須。むしろなぜそんなに急ぐの?」。
日本料理だって仕込みにはかなりの時間がかかっています。けれど食べるのは一瞬なんですよね。半日かけて作ったものだって、3分でぺろりです。フレンチとまではいかなくとも、さすがに「もうちょっと味わってよ」と思うことはありますね(笑)。

ご飯の魅力を語ろう:日本料理「一凛」橋本幹造さん

日本の食文化が大きく変わった転機は、1964年の東京オリンピックです。欧米の食文化が一気に流れてきて、オムライスやハンバーグが登場し、デミグラスソースをかける料理が周知されました。スパゲッティという言葉が生まれたのもこの時代です。
日本人はこういった多様性に対応できる国民性があります。そのおかげで、今の日本では世界中の美食が味わえます。ただ、だからこそ改めて、和食を見直してもらいたいとも思うのです。

いっぱいに皿が並んでる光景は、心を豊かにしてくれました。
ご飯の魅力を語ろう:日本料理「一凛」橋本幹造さん

たとえば、ワンプレートで提供される料理や大皿料理は、ダメとは言いませんが、料理とともに器も楽しむという和食ならではの魅力を半減させてしまっていると思います。しかも大皿料理は、なんだか粗野だと思いませんか? 僕は修業時代、まかないを大皿料理で出す店にいたことがあります。一人ひとり身体の大きさも年齢も立場も違うのに、みんなひとまとめにして大皿をつつけと。料理店なのにこれでいいのか、銘々に用意しないと失礼じゃないかと、修行の身ながら感じていました。
京都の実家では、毎食テーブルの下地が見えないほど皿が並ぶのが当たり前でした。もちろんすべてを1日で作っているわけではありません。昨日食べきれなかったものが翌日にまた並んでいたりするんですが、テーブルいっぱいに皿が並んでる光景は、心を豊かにしてくれました。だから僕の店ではお客様ひとりに対し、平均40皿使います。「豆皿八寸」という名物メニューは作るのも管理するのも大変な小さな器をたくさん使うのですが、その労力があるからこそお客様からお代をいただけるのだと思っています。