ご飯の魅力を語ろう

vol.5橋本幹造さん

日本料理「一凛」オーナー兼料理人

動画の内容をインタビュー記事で読めます

#5家庭でおいしい和食を作るコツは「下ごしらえ」

工程に下ごしらえを加えると、見違えるようにお米がおいしくなります。
ご飯の魅力を語ろう:日本料理「一凛」橋本幹造さん

家庭でおいしい和食を作るためにもっとも大事なこと、それは下ごしらえです。
お米を炊くということに特化してみると、普通は洗ったお米を炊飯器に入れてスイッチオン、数十分後に炊き上がるという流れですよね。この工程に下ごしらえを加えると、見違えるようにお米がおいしくなります。
お米を洗った後に1時間ほど吸水させ、しっかり水切りしてから密閉容器に入れ、一晩冷蔵庫で寝かすのです。この工程を加えるとお米の芯まで水が入り、初めてお米本来の甘さが開花します。すぐに炊飯器にセットして炊飯スタートしてしまうと、お米の芯まで水が届きません。最近の高性能の炊飯器の場合は「水を吸って!」とお米を促す機能が付いていますが、お米は生き物ですから1粒ごとに性格が異なり、短時間では水を吸わないものもあります。吸水させて一晩寝かすとまったく別物の味になりますから、ぜひ試してみてください。

おかずの方の下ごしらえについては、大根を例に挙げると、買ったその日に適当な大きさに切って湯がき、冷蔵庫で水吸いさせます。そして調理する分だけそこから取り出します。「野菜あるある」で、安売りしていたからと買ったものの冷蔵庫に入れっぱなしで、使うのは4~5日後ということ、少なくないですよね。でも本来は買ったその日に食べるのが一番おいしいわけで、それが難しい場合はこうやって下ごしらえをすることで、買ったその日の品質を保つことができます。鶏と大根の煮物は多くの家庭で作られる料理だと思いますが、生の大根を煮汁で炊こうとすること自体が間違っています。味がなかなか沁みないし時間もかかるでしょう。面倒に思えても下ごしらえをすることが、結果的に料理の時短にもつながるのです。

また、味は基本的に塩味で決めるようにします。醤油はあくまでも香りを付けるもの。さらに、僕自身はお客様にお出しする料理に砂糖は使いませんが、家庭における砂糖は心強い調味料です。砂糖を入れることによって味が太くなり、食べごたえも出ます。「なにかもの足りないな」と思っときにちょっと砂糖を加えると、一気においしくなりますよ。

家庭でおいしい和食を作るコツは、意外に簡単ですよ。

調理器具は、包丁だったら同じものを最低2本、肉類魚類と野菜で用意することをおすすめします。刃の長さは手を広げて親指から薬指くらいの長さのものを選ぶといいでしょう。そして手入れは毎日、ぜひ砥石で行ってください。毎日なんて面倒と思うかもしれませんが、風邪の引き始めに薬を飲むと快復も早いけれど、こじらせてからではなかなか治らないのと一緒で、刃がなくなってから砥ごうとするから大変なんです。毎日だったら砥石をそっと、なでる程度で十分です。多くの方が削っているかのごとく、力を入れすぎです。よく切れる包丁は素材を潰さないので、味が変わりますよ。
また、フライパンのサイズも気をつけるといいでしょう。ときどき「うちは大家族なので大きなフライパンを使っています」という声を聞きますが、家庭のコンロは火力の大きさがほぼ決まっているので、大きいフライパンを買ってもあまり温まらないんです。直径24センチ以内のものをおすすめします。
最初の下ごしらえを怠らず、切れる包丁かつ適切サイズのフライパン。家庭でおいしい和食を作るコツは、意外に簡単ですよ。

ご飯の魅力を語ろう:日本料理「一凛」橋本幹造さん

日本料理 一凛


東京都渋谷区神宮前2-19-5 AZUMA BUIL 2F
http://mikizo.com
03-6410-7355
Facebook公式アカウント